夫や妻から「離婚したい」と言われたけれど、自分は離婚したくない。何とか夫婦関係を修復したいと思っていても、何をすればよいのか分からず、焦ってしまうことがあります。
相手の離婚意思が強いときほど、何度も説得したり、長文のLINEを送ったり、親族に仲裁を頼んだりしたくなるかもしれません。しかし、相手の気持ちや現在の夫婦関係を考えずに行動すると、かえって負担を与えてしまう場合があります。
離婚したくない場合の「奥の手」とは、相手を無理に引き止めるための特別な言葉や、必ず離婚を回避できる方法のことではありません。夫婦関係の修復に向けた対応と、離婚届や調停などの手続き上の対応を分け、現在の状況に合った方法を検討することです。
離婚したくない場合に検討できる具体的な方法、手紙で気持ちを伝える際の注意点、離婚届不受理申出、第三者への仲介依頼、避けたい対応について解説します。
離婚したくない場合の奥の手を考える前に

具体的な方法を選ぶ前に、まず現在の状況を整理しましょう。
確認したいのは、次の点です。
- 相手はどのような理由で離婚を求めているのか
- 夫婦で話し合える状態なのか
- 同居中なのか、別居中なのか
- LINEや電話で連絡が取れるのか
- 相手は離婚届の提出や離婚調停などを進めているのか
例えば、夫婦喧嘩の直後に離婚を口にした場合と、長期間の話し合いを経て離婚を求めている場合では、状況が異なります。
また、夫婦関係を修復するためにできることと、離婚届の提出や調停に関する手続きは別の問題です。
この記事では、離婚したくない場合に検討できる具体策を紹介します。法律上の対応については、個別の状況に応じて市区町村役場や弁護士などの専門家に確認してください。
離婚したくない場合に検討できる5つの方法

離婚したくない場合、現在の状況に応じて、次のような方法を検討できます。
①離婚協議を急がない
②手紙で気持ちを伝える
③話し合いで離婚についての結論を先延ばしにする
④離婚届不受理申出を利用する
⑤夫・妻の親に仲裁をお願いする
すべての方法が、どの夫婦にも適しているわけではありません。相手が話し合いを望んでいるか、距離を置きたいと考えているか、法律上の手続きが進んでいるかによって、適切な対応は変わります。
1.離婚についてすぐに結論を出さず、自分の意思を伝える

相手から離婚を求められたとき、動揺した状態ですぐに結論を出す必要はありません。
自分は離婚したくないのであれば、その意思を落ち着いて伝え、これまでのことを振り返る時間や、もう一度話し合う機会を持ちたいと伝える方法があります。
例えば、次のような伝え方が考えられます。
「私は離婚したいとは思っていません。あなたが離婚を考えるようになった理由をきちんと理解したいと思っています。今すぐ結論を出すのではなく、これまでのことを振り返りながら、もう一度話し合う機会を持てないでしょうか」
ここで大切なのは、自分の希望を伝えるだけでなく、相手が離婚を考えるようになった理由を聞く姿勢を示すことです。
ただし、相手がすでに話し合いを拒否している場合は、何度も同じ要求を繰り返さないようにしましょう。また、離婚協議を急がないことと、離婚調停などの手続きを放置することは異なります。通知が届いた場合は、内容や期限を確認してください。
2.手紙で自分の気持ちや反省を伝える

直接話すと感情的になってしまう場合や、別居中で落ち着いて話す機会がない場合には、手紙で気持ちを伝える方法があります。
ただし、手紙を送れば必ず相手の気持ちが変わるわけではありません。相手が連絡を拒んでいる場合や、距離を置きたいと明確に伝えている場合は、送ること自体を慎重に判断してください。
手紙を書くときは、次の3点を意識します。
- 自分が反省している言動を具体的にする
- 相手が感じていた負担や不満を理解しようとする
- 返事や決断を迫らず、自分の気持ちを簡潔に伝える
例えば、自分の話ばかりして相手の話を十分に聞けていなかった場合は、その点を振り返ります。家事や育児の負担を相手に任せていた場合は、相手の負担を理解できていなかったことを伝える方法もあります。
離婚したくない気持ちを伝える手紙の例文
「これまでの夫婦生活を振り返り、あなたが不満に感じていたことを十分に理解できていなかったと反省しています。自分の考えを優先し、あなたの話を最後まで聞けていなかったことについても、申し訳なく思っています。
私は今も離婚したいとは思っていません。ただ、私の希望を伝えるだけではなく、あなたがどのような思いで離婚を考えるようになったのかを理解したいと思っています。
これまでのことを振り返り、自分の言動を見直していきたいと考えています。すぐに返事をしてほしいというつもりはありません。今まで伝えられなかった気持ちを、落ち着いて伝えたいと思い、手紙を書きました。」
この例文は、相手に実際に伝えたい内容に合わせて修正してください。自分が反省していないことまで書いたり、事実と異なる内容を認めたりする必要はありません。
手紙は長く書けばよいわけではありません。相手への不満や過去の言い争いを並べるのではなく、今伝える必要があることに絞りましょう。
3.相手の話を聞くための話し合いの機会をつくる

夫婦間で話し合える状態であれば、相手が何に不満を感じ、なぜ離婚を考えるようになったのかを聞くことが大切です。
離婚したくない側は、相手に考え直してもらうために説得したくなることがあります。しかし、相手の話を聞かないまま自分の希望を伝え続けても、相手が理解してもらえないと感じる場合があります。
話し合う際は、次の点を意識してください。
- 相手が話している途中で反論しない
- 何を不満に感じていたのかを確認する
- 自分の言い分を伝える前に、相手の話を聞く
- その場で結論を出すよう迫らない
話し合いの目的は、その場で離婚を撤回させることだけではありません。相手がどのような気持ちで離婚を考えているのかを理解し、夫婦関係を修復できる余地があるのかを見極めることです。
相手が話し合いを拒否している場合は、無理に会話を求めたり、突然会いに行ったりすることは避けましょう。
4.離婚届不受理申出をする

相手が自分の意思に反して離婚届を提出することを心配している場合は、市区町村役場で「離婚届不受理申出」の制度を確認する方法があります。
この制度は、本人の意思に反して離婚届が提出された場合に、受理されないようにするためのものです。
ただし、離婚届不受理申出は、夫婦関係を修復するための制度ではありません。また、離婚調停などの手続きへの対応の代わりになるものでもありません。
制度の利用を検討する場合は、次の点を確認してください。
- 自分の状況で制度の利用が必要なのか
- 申出に必要な手続きや書類は何か
- 制度によって対応できる範囲はどこまでか
- 離婚調停など、ほかの手続きへの対応が必要か
具体的な手続きは、住所地などの条件に応じて市区町村役場に確認してください。法律上の判断が必要な場合は、弁護士などの法律専門家に相談しましょう。
5.双方が信頼できる第三者に仲介を依頼する

夫婦だけでは冷静に話し合うことが難しい場合、双方が信頼できる第三者に間に入ってもらう方法を検討することもできます。
ただし、親や友人に相手を説得してもらえば、必ず関係が修復するわけではありません。
相手が親族からの説得を負担に感じている場合、複数の人から連絡を受けることで、さらに距離を置きたいと思うこともあります。
第三者に仲介を依頼する場合は、相手を一方的に説得することではなく、双方の話を落ち着いて聞ける人かどうかを考えてください。
すでに離婚調停などの手続きが進んでいる場合は、親族による仲介とは別に、法律上の手続きへの対応も必要です。
離婚届を渡された場合はどうする?

相手から離婚届を渡された場合、離婚したくないのであれば、動揺したまま署名するのではなく、自分の意思と現在の状況を確認してください。
離婚届を渡されたという事実だけで、相手がどの程度離婚を決意しているのか、夫婦関係を修復する余地があるのかを判断することはできません。
まず、どのような話し合いがあったのか、相手がどのような理由で離婚を求めているのかを整理します。
離婚届を勝手に提出されることが心配な場合は、前述の離婚届不受理申出について、市区町村役場に制度や手続きを確認してください。
一方、離婚届への対応だけに意識が向き、夫婦関係について話し合う機会を失ってしまうことも避けたいところです。相手と話し合える状態であれば、離婚を考えるようになった理由や、今後についてどのように考えているのかを聞くことも検討します。
離婚届の提出や法律上の手続きについて判断に迷う場合は、弁護士などの法律専門家に相談してください。
離婚したくないならやってはけないこと

離婚したくない気持ちが強いと、焦って相手を説得したり、何度も連絡したりしてしまうことがあります。しかし、相手が距離を置こうとしている場合は、次のような行動が負担になる可能性があります。
何度も離婚を考え直すよう説得する

「離婚しないでほしい」「もう一度だけ考えてほしい」と繰り返すと、相手が自分の気持ちを受け止めてもらえないと感じる場合があります。
自分の希望を伝えた後は、相手の話を聞く姿勢も持ちましょう。
返信がないのにLINEを送り続ける

返信がない状態で何度もLINEを送ると、相手がさらに連絡を避ける場合があります。
連絡の頻度や内容は、これまでのやり取りや相手の反応を踏まえて判断してください。相手から連絡をしないでほしいと言われた場合は、その意思を尊重しましょう。
突然会いに行く

別居中など、相手が距離を置いているときに突然会いに行くことは、相手の負担になる可能性があります。
会うことを求める前に、相手がどのような対応を望んでいるのかを考えましょう。
親族を通じて一方的に説得する

親や友人に何度も連絡してもらうことで、相手が周囲から責められているように感じる場合があります。
第三者に仲介を依頼する場合も、相手の意向や負担を考慮してください。
離婚したくない場合の対応は、夫婦の状況によって異なる

離婚したくない場合に検討できる方法は、すべての夫婦に同じように有効なわけではありません。
例えば、夫婦喧嘩の直後であれば、感情が落ち着いてから話し合う方法が考えられます。一方、長期間の不満が積み重なっている場合は、これまでの接し方を振り返り、具体的な改善を考える必要があります。
また、別居中で連絡が取れない場合と、同居中で会話ができる場合では、取れる対応も異なります。
自分の状況に合った方法を選ぶためには、離婚を考えるようになった経緯、相手の言葉や行動、現在の連絡状況を整理することが大切です。
離婚回避の全体的な考え方や、夫婦関係が悪化した原因の見極め方については、離婚回避する方法と夫婦関係を修復するための対処法で解説しています。
離婚したくない場合の相談について

復縁専科では、離婚したくない方からのご相談について、これまでの夫婦関係、離婚を切り出された経緯、相手の言葉や行動、現在の連絡状況などを伺っています。
そのうえで、相手の性格傾向や心理状態を分析し、今後どのように接するべきか、謝罪や手紙が適しているのか、連絡を続けるべきかなど、現在の状況に合わせてアドバイスしています。
離婚したくないからといって、すぐに手紙を送ったり、何度も話し合いを求めたりすることが適切とは限りません。
何をすべきか迷っている場合は、現在の状況を整理し、夫婦関係の修復に向けてできることを考えてみてください。
まとめ|離婚したくない場合は、状況に合った方法を選ぶ

離婚したくない場合の奥の手として、離婚についてすぐに結論を出さずに自分の意思を伝えること、手紙で気持ちを伝えること、話し合いの機会をつくること、離婚届不受理申出などの制度を確認すること、第三者に仲介を依頼することが考えられます。
ただし、どの方法も必ず離婚を回避できるものではありません。
相手が離婚を考えるようになった理由や現在の心理状態、同居・別居の状況、連絡が取れるかどうかによって、適切な対応は異なります。
また、夫婦関係の修復に向けた対応と、離婚届や離婚調停などの法律上の手続きは分けて考える必要があります。
相手の意思を尊重しながら、今の状況に合った対応を検討していきましょう。
離婚したくない場合によくある質問

- 離婚したくない場合の奥の手は何ですか?
- 一つの方法で必ず離婚を回避できるわけではありません。自分の意思を落ち着いて伝えること、手紙で反省や気持ちを伝えること、話し合いの機会をつくること、必要な制度を確認することなど、現在の状況に合った方法を検討してください。
- 手紙を送れば離婚を回避できますか?
- 手紙によって自分の気持ちや反省を伝えられる場合はありますが、必ず相手の気持ちが変わるとは限りません。相手が連絡を拒んでいる場合は、送ること自体を慎重に判断してください。
- 離婚届不受理申出をすれば離婚を回避できますか?
- 離婚届不受理申出は、本人の意思に反して離婚届が提出された場合に、受理されないようにするための制度です。それだけで夫婦関係が修復されるわけではなく、離婚調停などの手続きへの対応の代わりにもなりません。詳しい手続きは市区町村役場に確認してください。
- 別居中でも離婚したくないと伝えていいですか?
- 自分の意思を伝えること自体が問題になるわけではありません。ただし、相手が距離を置きたいと明確に伝えている場合は、連絡の頻度や方法を慎重に考える必要があります。何度も連絡したり、突然会いに行ったりすることは避けましょう。
- 離婚調停を申し立てられたら、どうすればいいですか?
- 調停の通知内容や手続き上の対応を確認してください。夫婦関係を修復したいという希望があっても、調停への対応を放置してはいけません。必要に応じて弁護士などの法律専門家に相談しましょう。
法律についての監修
弁護士法人プラム綜合法律事務所
弁護士 梅澤康二
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