離婚したくないと思っていても、夫や妻から離婚を求められ、別居や離婚調停の話まで進むと、「もう離婚を避ける方法はないのでは」と不安になる方も少なくありません。
夫婦関係を修復するための話し合いだけでは対応が難しい段階では、状況に応じて別の方法を選ぶ必要があります。
この記事では、離婚したくない場合に検討できる5つの方法について、使う場面と注意点を含めて解説します。
- 離婚協議を急がない
- 手紙で気持ちを伝える
- 離婚についての結論を急がせない
- 離婚届不受理申出を利用する
- 夫・妻の親に仲裁をお願いする
どの方法も、相手を追い詰めたり、無理に離婚を止めたりするためのものではありません。現在の夫婦関係を見ながら、離婚を避けるために取れる対応を選ぶことが大切です。
離婚したくない場合の「奥の手」とは

夫婦関係が悪化している段階では、相手の不満を理解し、日々の接し方を変えていくことが基本になります。
一方で、離婚届を渡されたり、別居の準備が始まったり、離婚条件の話まで進んだ場合は、夫婦関係だけを考えていては間に合わないことがあります。
「奥の手」は、相手を困らせたり、離婚を無理に阻止したりする方法ではありません。
離婚について結論を出すまでの時間を確保したり、自分の意思に反して離婚届が提出されることを防いだり、直接話すことが難しいときに手紙で気持ちを伝えたりするための選択肢です。
離婚したくない場合に検討できる5つの方法

現在の夫婦関係や離婚問題の進み方によって、選ぶ方法は変わります。
まだ普通に会話ができるのであれば、法律上の手続きを急いで行うより、相手が離婚を考えるようになった理由を聞き、夫婦関係を見直すことを優先した方がよい場合があります。
一方、離婚届への署名を迫られている場合や、別居・調停の話が具体的になっている場合は、次のような対応を検討できます。
①離婚協議を急がない
②手紙で気持ちを伝える
③話し合いで離婚についての結論を先延ばしにする
④離婚届不受理申出を利用する
⑤夫・妻の親に仲裁をお願いする
どれか一つを選べばよいわけではなく、現在の状況に合わせて判断することが大切です。
奥の手①離婚協議を急いで進めない

離婚したくないのに、夫や妻から財産分与、親権、養育費、慰謝料などの話をされると、「もう離婚するしかない」と感じてしまうことがあります。
しかし、離婚条件について話し合うことと、離婚に同意することは同じではありません。
離婚する意思がないのであれば、相手のペースに合わせて条件を決める必要はありません。
離婚届への署名を求められても、その場で応じない
離婚届を目の前に出され、「ここに署名してほしい」と求められることがあります。
離婚したくないのであれば、気持ちが決まっていない状態で署名する必要はありません。
「今は離婚に同意できないので、少し考える時間がほしい」と伝え、すぐに署名することを避ける方法があります。
相手が感情的になっている場合でも、言い返したり責めたりする必要はありません。
自分の意思を明確にしたうえで、離婚について判断する時間を確保することを優先してください。
離婚条件の話と夫婦関係の話を分けて考える
離婚の話が始まると、財産分与や親権などの条件に話題が集中することがあります。
しかし、離婚したくない側にとっては、「条件をどうするか」より先に「本当に離婚するのか」を考える必要があります。
離婚そのものに同意していない段階で、条件だけを次々に決めてしまうと、後から自分の意思との食い違いが生じることがあります。
条件について聞かれた場合も、「離婚に同意しているわけではないので、まず夫婦関係について話したい」と伝えることができます。
弁護士から通知が届いた場合は放置しない
相手が弁護士に依頼し、離婚についての通知が届いた場合は、夫婦間の問題だけではなく法律上の対応も必要になります。
離婚したくない場合でも、通知を無視すれば問題が解決するわけではありません。
書面の内容を確認し、必要に応じて自分側の弁護士へ相談してください。
夫婦関係の修復を望んでいても、法律上の手続きに対応することはできます。
奥の手②離婚回避を目的とした手紙を書く

直接話をすると感情的になってしまう、相手が話し合いを避けている、何を言っても途中で話が終わってしまう。
このような場合には、手紙で気持ちを伝える方法があります。
手紙は、その場で返事を求めず、相手が自分のタイミングで読むことができます。
ただし、長い文章を書けば気持ちが伝わるわけではありません。
手紙では「離婚しないでほしい」だけを書かない
離婚したくない気持ちが強いと、
「離婚しないでほしい」
「もう一度だけチャンスがほしい」
「絶対に変わるから」
という言葉を何度も書きたくなります。
しかし、相手がすでに離婚を考えている場合、お願いだけを繰り返されると、「自分の気持ちより離婚を止めたい気持ちを優先している」と受け取られることがあります。
手紙では、離婚したくないという自分の気持ちだけではなく、相手が結婚生活の中で何に苦しんでいたのか、自分が何を理解できていなかったのかを書く方が伝わりやすくなります。
自分の反省を具体的に書く
「全部自分が悪かった」
「これから反省します」
だけでは、何を理解したのかが相手には伝わりません。
例えば、喧嘩のたびに言い返していたのであれば、「自分の正しさを説明することを優先し、相手が何に傷ついていたのかを聞けていなかった」と具体的に書くことができます。
反省を書く場合は、相手を責める表現や「あなたにも原因がある」という話を混ぜない方がよいでしょう。
手紙を書いた後に返事を求めない
手紙を渡した直後に、
「読んだ?」
「どう思った?」
「返事を聞かせて」
と何度も確認すると、手紙を送った意味が薄れてしまいます。
手紙は、相手に考える時間を残すことも含めて一つの方法です。
返事がないことに焦って、追加のLINEやメッセージを重ねないよう注意してください。
奥の手③離婚についての結論を急がせない

離婚を求められたとき、「今すぐ考え直してほしい」と説得したくなるものです。
しかし、離婚を考えている側は、それまでに長い時間をかけて悩んでいることがあります。
そのため、短時間で結論を変えてもらおうとすると、かえって話し合いが難しくなることがあります。
「今すぐ答えを出さない」という選択肢を伝える
離婚を否定するだけではなく、
「今すぐ結論を出さずに、少し時間を置いて考えたい」
と伝える方法があります。
これは相手に離婚を諦めさせるためではありません。
夫婦が感情的になっている状態で、取り返しのつかない判断をしないための時間を確保するという考え方です。
相手が話し合いに応じるのであれば、その時間を使って自分の言動を見直し、これまでの結婚生活で相手が何を苦痛に感じていたのかを考えていきます。
時間を作るだけでは夫婦関係は変わらない
離婚の結論を先延ばしにできたとしても、それだけで夫婦関係が改善するわけではありません。
相手から時間をもらえたのであれば、その間に自分の行動を変えていく必要があります。
例えば、会話の中ですぐに反論していた、相手の話を途中で遮っていた、家事や育児を任せきりにしていたなど、夫婦関係を悪化させた具体的な行動があれば、そこを変えていきます。
「時間をもらえたから大丈夫」と考えるのではなく、「時間がある間に何を変えるか」を考えることが大切です。
別居を求められた場合は、理由を確認する
「しばらく別々に暮らしたい」と言われた場合、すぐに拒否したくなる方もいます。
しかし、別居を求める理由によって、その後の対応は変わります。
夫婦喧嘩から距離を置きたいのか、夫婦関係そのものを終わらせたいのか、精神的な負担から離れたいのかによって、必要な対応は異なります。
別居を拒むことだけに集中せず、「なぜ今、別居したいと思っているのか」を確認することから始めてください。
奥の手④離婚届不受理申出を利用する

離婚したくないにもかかわらず、相手が離婚届を提出する可能性がある場合には、離婚届不受理申出という制度があります。
これは、本人の意思に基づかない離婚届が受理されることを防ぐための制度です。
ただし、夫婦関係を修復する制度ではありません。
離婚届を勝手に提出される心配がある場合に検討する
相手から離婚届を渡されている、署名を強く求められている、「自分で提出する」と言われているなど、提出される可能性が現実的にある場合には、制度の利用を検討できます。
詳しい手続きや必要書類については、本籍地などによって確認が必要になるため、市区町村の窓口や法務局へ確認してください。
不受理申出をしても夫婦関係は改善しない
離婚届不受理申出は、離婚そのものを解決する手続きではありません。
離婚届が受理されることを防いでも、相手の離婚意思がなくなるわけではありません。
そのため、制度を利用した後は、なぜ相手が離婚を考えるようになったのかを理解し、夫婦関係について話し合える状態を作ることが別に必要になります。
相手に伝えるかどうかは状況を見て判断する
不受理申出をしたことを相手に伝えることで、「離婚を拒む意思が明確になった」と理解してもらえる場合もあります。
一方で、夫婦間の信頼関係がすでに悪化している場合は、「法的に対抗された」と感じさせる可能性もあります。
手続きの利用と夫婦関係の修復は別の問題として考え、現在の関係性を踏まえて対応してください。
奥の手⑤夫・妻の親に相談する

夫婦だけで話し合っても、毎回感情的になってしまう場合には、親に相談する方法もあります。
ただし、親を呼べば離婚を止められるというものではありません。
親に何をお願いするのかを明確にし、相手を責めるための場にしないことが大切です。
親には「説得」ではなく「話を聞いてもらう」ことを頼む
自分の親に、
「離婚を考え直すよう説得してほしい」
と頼みたくなることがあります。
しかし、親から説得されると、相手は「家族ぐるみで離婚を止めようとしている」と感じることがあります。
親に協力をお願いするのであれば、相手を説得する役ではなく、双方の話を聞いてもらう役として考えた方がよいでしょう。
相手と親との関係を考えてから相談する
相手と自分の親との関係が良好であれば、親の言葉が届くこともあります。
反対に、以前から親が夫婦問題に介入していた場合や、相手が自分の親に不信感を持っている場合は、親を巻き込むことで関係がさらに悪化する可能性があります。
親に相談する前に、「相手はこの人の話なら聞けるのか」を考えてください。
親を夫婦の味方争いに参加させない
親に相談すると、
「あなたは悪くない」
「相手が悪い」
という話になりやすくなります。
しかし、夫婦関係を修復したいのであれば、どちらが正しいかを決めることより、これからどう関係を変えるのかを考える方が先になります。
親には自分の立場を守ってもらうのではなく、冷静に話せる環境を支えてもらうという役割をお願いしてください。
奥の手を使うときに避けたい行動

離婚したくない気持ちが強いと、できることを一度に全部試したくなります。
手紙を書いた直後に長文LINEを送り、親にも相談し、さらに直接話し合いを求めると、相手にとっては逃げ場がなくなってしまいます。
奥の手を使うときは、一つの対応を取った後、相手の反応を見る時間も残してください。
長文LINEを何度も送らない
手紙を書いた後に、さらにLINEで同じ内容を繰り返すと、相手には「返事を求められている」と感じられることがあります。
伝えたいことがある場合でも、一度にすべてを伝えようとせず、必要な連絡だけに留める方が関係を悪化させにくくなります。
相手の行動を監視しない
離婚を避けたい気持ちから、相手の帰宅時間や外出先、スマートフォンなどを気にしてしまうことがあります。
しかし、行動を監視されていると感じると、相手はさらに距離を取りたくなります。
不安を解消するための確認が、夫婦間の信頼をさらに損なうこともあるため注意してください。
子どもを説得の材料にしない
「子どもがかわいそうだから離婚しないでほしい」と子どもを通して伝えたり、子どもの前で離婚について言い争ったりすることは避けてください。
子どもの生活について話し合うことと、子どもを離婚回避のための説得材料にすることは別です。
子どもの安心を守りながら、夫婦の問題は夫婦で向き合うことが必要です。
「何でもする」と約束しない
離婚したくない一心で、「何でもする」「絶対に変わる」と約束してしまう方がいます。
しかし、具体的な行動が伴わなければ、以前と同じ約束として受け取られてしまいます。
「何を変えるのか」「いつから始めるのか」まで自分の中で決め、実際の生活で続けていくことを考えてください。
離婚したくない場合に法律上確認しておきたいこと

離婚届や離婚調停など、具体的な手続きが始まった場合には、夫婦関係の修復だけでなく法律上の対応も確認してください。
特に、相手が弁護士へ依頼している場合や、財産分与・親権・婚姻費用などの話が始まっている場合は、早めに法律相談を利用した方がよいことがあります。
離婚届に署名しなければ離婚は成立しない
協議離婚では、夫婦双方の離婚意思が必要です。
離婚したくないのであれば、相手から渡された離婚届に、その場の勢いで署名しないでください。
「少し考えたい」と伝えて時間を取り、自分の意思を明確にしてから判断することが必要です。
離婚調停を申し立てられても、その時点で離婚は成立しない
離婚調停は、家庭裁判所で夫婦が話し合い、合意による解決を目指す手続きです。
相手が調停を申し立てたからといって、その時点で離婚が成立するわけではありません。
離婚したくない場合は、調停の場でその意思を明確に伝えながら、必要に応じて夫婦関係を修復したい理由や今後の希望を説明することになります。
法律上の対応が必要な段階では弁護士に相談する

離婚届の問題だけでなく、財産分与、親権、養育費、慰謝料、婚姻費用などの具体的な問題が出てきた場合は、夫婦関係の相談とは別に法律の専門家へ確認してください。
離婚を避けたいという希望があっても、法律上の手続きを放置してよいわけではありません。
夫婦関係の修復と法的な対応を並行して進めることもできます。
離婚したくない場合の奥の手は「離婚を止める方法」だけではない

奥の手という言葉から、相手の気持ちを一気に変える方法を想像する方もいるかもしれません。
しかし、実際にはそのような方法はありません。
離婚届への対応で時間を確保すること、手紙で伝えられなかった気持ちを届けること、結論を急がず話し合う時間を作ること、必要に応じて親や専門家に協力を求めること。
こうした対応を、その夫婦の状況に合わせて選んでいくことが、離婚を避けるための現実的な方法になります。
相手が離婚を考えた理由が残ったままであれば、時間を作っただけでは夫婦関係は変わりません。
そのため、奥の手を使った後は、相手が何に傷つき、何に不満を感じていたのかを理解し、自分の行動を変えていくことが必要になります。
離婚したくない、何をすればいいのか分からない方へ

離婚届を渡された、別居を求められた、離婚調停の話が出ているなど、離婚問題が具体的になってくると、自分だけで判断することが難しくなることがあります。
復縁専科では、これまでの経緯や現在の夫婦関係を伺い、配偶者の心理状態と夫婦関係の状況を踏まえて、離婚回避に向けた対応を心理分析しています。
一般的な方法ではなく、同居中なのか、家庭内別居なのか、別居しているのか、離婚の話がどこまで進んでいるのかを確認したうえで、今の段階で避けたい行動や、優先して考えたい対応をご案内します。
離婚したくない場合の奥の手を確認する

心理カウンセラーが、ご相談内容をもとに現在の夫婦関係と離婚問題の進み方を確認します。
離婚届を求められている、別居を切り出された、弁護士から通知が届いた、離婚調停を申し立てられたなど、状況によって考えるべきことは異なります。
今の段階で何をすればよいのか分からない場合は、現在の状況をお聞かせください。
心理カウンセラーが対応
※匿名OK/心理チェックで今の状況と対処法が分かります
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よくある質問
- 離婚届に署名を求められたらどうすればいいですか?
- 離婚したくないのであれば、その場で署名する必要はありません。
「今は離婚に同意できないので、考える時間がほしい」と伝え、自分の意思を確認してから判断してください。
離婚届が勝手に提出される心配がある場合は、離婚届不受理申出について市区町村の窓口などで確認する方法があります。
- 離婚したくない場合、離婚調停を拒否できますか?
- 離婚調停を申し立てられた場合でも、その時点で離婚が成立するわけではありません。
調停では、自分が離婚を望んでいないことや、夫婦関係を修復したい意思を伝えることができます。
調停の通知が届いた場合は放置せず、必要に応じて弁護士へ相談してください。
- 奥の手として手紙を書く場合、何を書けばいいですか?
- 離婚したくないというお願いだけを繰り返すのではなく、相手が結婚生活の中で何に苦しんでいたのか、自分が何を理解できていなかったのかを書くことが大切です。
そのうえで、自分の言動について改める点と、これから実際に変えていく行動を具体的に伝えます。
- 夫や妻の親に相談すると離婚を止めてもらえますか?
- 親が間に入ることで話し合いやすくなる場合もありますが、必ず離婚を避けられるわけではありません。
相手と親との関係が良好であれば協力をお願いできることがありますが、親子関係が悪い場合や、以前から親が夫婦問題に介入していた場合は逆効果になることもあります。
- 弁護士に相談すると夫婦関係の修復が難しくなりませんか?
- 弁護士への相談は、必ずしも離婚を進めるためのものではありません。
離婚届、財産分与、親権、養育費、婚姻費用など、自分の権利や義務を確認するために相談することもできます。
夫婦関係を修復したい場合でも、法律上の問題について弁護士に確認しておくことはできます。
離婚したくない場合の奥の手のまとめ

離婚したくない場合の奥の手は、相手を説得して気持ちを変えさせる特別な方法ではありません。
離婚届への署名を求められた、別居の話が具体的になった、離婚条件の話が始まった、調停の通知が届いた。
このように離婚が現実的になったとき、自分の意思を守りながら夫婦関係を見直すために選べる対応です。
検討できる方法は、
- 離婚協議を急いで進めない
- 手紙で自分の気持ちと反省を伝える
- 離婚についての結論を急がせない
- 離婚届不受理申出を利用する
- 夫・妻の親に相談する
などがあります。
ただし、夫婦によって適した方法は異なります。
離婚届への対応が必要な段階なのか、まだ夫婦で話し合える段階なのかを見極めたうえで、必要な方法だけを選んでください。
そして、時間を確保できたとしても、その間に夫婦関係が変わらなければ離婚回避にはつながりません。
配偶者が離婚を考えるようになった理由を理解し、自分の言動を見直し、実際の生活の中で変化を続けることが、その後の話し合いにつながります。

臨床心理士・心理カウンセラー
高橋純代
金城大学大学院 人間科学研究科 心理学専攻 修了。
臨床心理士資格を有し、夫婦関係修復・離婚回避サポートを専門とする心理カウンセラーとして活動。
2003年より夫婦問題の相談に従事し、これまでに5,000件以上のカウンセリング実績を持つ。
離婚危機・別居・家庭内別居・不倫問題など、複雑な夫婦問題に関して心理学に基づいた実践的な改善アプローチを提供している。
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