離婚回避を考えるときは、夫・妻がなぜ離婚を考えるようになったのかを知り、現在の夫婦関係に合った対応を考えることが大切です。
夫や妻から「離婚したい」と言われると、何をすれば離婚を避けられるのか分からなくなってしまいます。
謝罪を繰り返したり、長いLINEを送ったり、何度も話し合いを求めることで、かえって相手の負担を増やしてしまうこともあります。
離婚を切り出された直後の対応、話し合いの進め方、避けたい行動、別居・離婚調停中の対応、法律上の基礎知識まで解説します。

離婚回避したいときに最初に考えること
離婚を切り出されると、「どうすれば相手の気持ちを変えられるのか」と考えやすくなります。
「離婚したくない」と伝えることも、夫婦関係を続けたいという自分の意思を示すうえでは必要な言葉です。
ただ、それだけでは配偶者が離婚を考えるようになった理由には届きません。
夫婦の一方が離婚を考えるようになるまでには、日常生活の中で感じた不満、寂しさ、喧嘩、無視、価値観の違い、家事や育児への負担など、複数の出来事が重なっていることがあります。
さらに、「何度話しても変わらなかった」という経験が続いている場合、配偶者の中では、離婚を切り出す前から夫婦関係について長く悩んでいた可能性があります。
そのため、離婚を回避するために最初に向き合いたいのは、「離婚したくない」という自分の気持ちだけではありません。
「相手は結婚生活のどこに苦しさを感じていたのか」
「これまで自分は何を見落としていたのか」
という点です。
例えば、夫から「もう疲れた」と言われた場合、その言葉だけを離婚理由として受け取るのではなく、いつ頃から夫婦の会話が減ったのか、どのような喧嘩が増えたのか、妻からどのような不満を言われていたのかなど、結婚生活の経緯を振り返ることで見えてくるものがあります。
離婚回避は、相手を言葉で引き止めることから始まるのではなく、これまでの夫婦関係について自分自身が理解を深めるところから始まります。
離婚回避相談でわかること

離婚を切り出された後は、夫婦の問題を自分だけで考えていると、どうしても不安が先行します。
「もう離婚を決めているのか」
「まだ気持ちは残っているのか」
「今、謝罪した方がいいのか」
「別居を受け入れた方がいいのか」
など、判断に迷う場面も増えていきます。
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離婚回避では、同じ「離婚したい」と言われたケースでも、夫婦によって背景が大きく異なります。
話し合いには応じるものの不満を強く訴えているケースと、完全に会話を拒否しているケースでは、同じ方法を取ることはできません。
まず現在の状況を把握したうえで、そのご夫婦に合った対応を考えることが、無理な説得による関係悪化を避けることにつながります。

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離婚を切り出された直後にすること

「離婚したい」と言われた直後は、感情が大きく動きます。
そのため、「今すぐ話し合わなければ」「何とか考え直してもらわなければ」と焦ってしまいます。
しかし、離婚を切り出した側がすでに長い期間悩んでいた場合、切り出された側だけがその日のうちに答えを出そうとしても、夫婦の認識には大きな差があります。
まず確認したいのは、離婚を考えるようになった理由と、現在の配偶者がどの程度まで離婚を決めているのかです。
- 離婚を考えるようになったきっかけ
- 結婚生活の中で不満や負担に感じていたこと
- 今後も話し合いを続けられる状況にあるのか
- 自分の言動で傷つけてしまったことはなかったか
離婚を考えるようになった理由を聞く

「もう無理」
「一緒にいても幸せになれない」
「価値観が合わない」
など、離婚理由を抽象的な言葉で伝えられることがあります。
この場合、すぐに反論するのではなく、「いつ頃からそう思うようになったのか」「結婚生活の中で何が一番苦しかったのか」を聞いていくことで、表面的な言葉の奥にある問題が見えてくることがあります。
例えば、「性格が合わない」という言葉の背景に、実際には喧嘩のたびに否定されたことへの苦痛があったり、「もう疲れた」という言葉の背景に、家事や育児を一人で抱えていた期間があったりします。
離婚理由を正しく把握できなければ、その後に自分が変えようとしていることも、相手の求めているものとずれてしまいます。
夫・妻の話を最後まで聞く

離婚理由を聞いていると、「それは違う」「そんなつもりではなかった」と言いたくなることがあります。
ただ、そこで説明を始めると、相手は自分の話を最後まで聞いてもらえなかったと感じるかもしれません。
まずは相手が話し終えるまで聞くことです。
すべてに同意する必要はありません。
「そう感じていたことは分かった」
「そこまで苦しんでいたことに気付かなかった」
という受け止め方ができるだけでも、以前とは違う会話になります。
離婚回避では、相手の主張をすべて認めることと、相手の気持ちを理解することは分けて考えます。
- 「何も話すことはありません」⇒自分の気持ちをわかって欲しいという心理
- 「あなたは悪くない」⇒今はあなたとの話し合いを避けたい心理
- 「もう決めたから」⇒あなたからきちんと謝ってもらいたい心理
その場で離婚の結論を出そうとしない
配偶者から離婚を切り出されると、「離婚するのか、しないのか」と、その場で結論を求めたくなります。
しかし、夫婦関係について長く悩んできた側に対して、短時間で結論を変えるよう求めても、気持ちが動くとは限りません。
その日の話し合いでは、相手の考えを聞き、自分の意思として「離婚せずにやり直したい」と伝えるところまでに留める方法もあります。
その後も話せる状態を残しておくことで、改めて夫婦関係について話す機会につながることがあります。
離婚回避したいときに避けたい行動

離婚を止めたいという思いが強いほど、行動が増えてしまいます。
長文LINE、連続した電話、何度もの謝罪、親族からの説得など、本人としては何とか関係を戻したいという思いから行っていても、配偶者からすると「逃げられない」と感じる場合があります。
離婚回避では、行動の数を増やすより、相手との距離や心理状態を見ながら接し方を選ぶことが求められます。
毎日のように話し合いを求める

一度話し合っても相手の気持ちが変わらなければ、「もう一度話せば分かってもらえる」と考えてしまいます。
その結果、翌日も、その次の日も離婚について話そうとしてしまうことがあります。
しかし、相手がすでに十分話したと感じている場合、繰り返される話し合いは説得として受け取られます。
「今日も離婚の話をされるのではないか」と警戒されれば、帰宅を避ける、会話を減らす、別居を考えるなど、さらに距離を取る行動につながることもあります。
長文LINEを何度も送る
LINEはすぐに送れるため、不安になったときほど文章が長くなります。
「自分がどれだけ反省しているか」
「どれだけ家族を愛しているか」
「これからどう変わるつもりなのか」
を一度に伝えたくなるからです。
しかし、受け取る側が離婚を考えている状態では、長い文章そのものが負担になる場合があります。
特に深夜に何通も送る、既読がつくまで追加する、返事を求めるという行動が重なると、謝罪よりも圧迫感が強くなります。
親や友人に説得を頼む
自分の言葉では伝わらないと思い、親や友人から配偶者へ話してもらおうとする方もいます。
しかし、夫婦の問題に第三者が突然入ることで、「自分の意思を尊重してもらえない」と感じることがあります。
親族同士の関係まで悪化すると、その後の夫婦関係だけではなく、子どもの問題や別居後の話し合いにも影響する場合があります。
第三者に相談することと、第三者から配偶者を説得してもらうことは分けて考えた方がよいでしょう。
子どもを離婚回避の材料にする

「子どものために離婚しないでほしい」
「子どもがかわいそう」
という気持ちは理解できます。
ただ、配偶者が夫婦関係そのものに苦しんでいる場合、子どもを理由に引き止められると、「自分の苦しさは考えてもらえない」と感じることがあります。
子どもの生活や養育について話し合うことは必要ですが、夫婦関係をどうするかという問題とは切り分けて考える方が、話し合いがこじれにくくなります。
「絶対に変わる」と何度も約束する
「もう怒鳴らない」
「家事をする」
「浮気は二度としない」
「これからは大切にする」
このような約束をしても、過去にも同じ約束をしていた場合、配偶者には言葉として届きにくくなります。
離婚危機では、「何を言うか」より「実際の生活がどう変わったか」が見られています。
大きな約束を並べるより、実際に変えられる行動から始めた方が、言葉との違いが出にくくなります。
離婚回避のための話し合い方

離婚を回避するための話し合いでは、相手を言い負かしたり、離婚の不利益を説明したりすることが目的ではありません。
配偶者が何に傷つき、どのような結婚生活を苦しいと感じていたのかを知り、自分がこれからどう向き合うのかを伝えることが中心になります。
- 自分は離婚せずに夫婦仲を修復してやり直したいと思っていることを伝える
- 離婚せずにやり直してもらうために自分がこれからできることを約束として伝える
- 夫・妻がまだ言葉にはしていない結婚生活でのあなたへの不満を教えて欲しいと伝える
最初に「離婚したくない」という意思を伝える
自分の意思を曖昧にしてしまう必要はありません。
「私は離婚したくありません。できるなら夫婦としてやり直したいと思っています」
と伝えることはできます。
ただし、その直後に「だから考え直して」と迫るのではなく、相手が何を考えているのかを聞く時間を設けます。
自分の希望を伝えることと、相手に同じ結論を強いることは別です。
「なぜ離婚したいのか」を具体的に聞く
「どうして離婚したいの?」
とだけ聞くと、相手は何度も同じ説明をすることになります。
「いつ頃から夫婦関係について悩むようになった?」
「結婚生活で一番苦しかったことは何だった?」
「自分のどのような言動が嫌だった?」
など、具体的に聞く方が、これまでの経緯を確認しやすくなります。
もちろん、相手が話したくない場合まで質問を続ける必要はありません。
話せる範囲で話してもらうことが、その後の関係を考える材料になります。
反論する前に相手の言葉を理解する
「そんなつもりはなかった」という言葉は、謝罪の場面で非常に出やすい言葉です。
しかし、本人に悪意がなかったとしても、相手が傷ついた事実まで消えるわけではありません。
例えば、
「家事をしてほしいと言われたから、手伝っていた」
という認識でも、妻からすると「自分から動いてくれなかった」と感じていたかもしれません。
このような認識の違いを知るためには、まず相手の話を聞くことです。
自分の問題点を具体的に認める
「全部自分が悪かった」
という謝罪は、一見すると反省しているように見えます。
しかし、何が悪かったのかが分からないままでは、配偶者にも変化を想像しにくいものです。
「怒っているときに話を聞かず、言い返していた」
「仕事を理由に家庭のことを任せきりにしていた」
「浮気が発覚した後、自分の事情ばかり説明していた」
など、具体的に自覚したことを伝える方が、言葉に現実感が出ます。
「これから何を変えるのか」を話す

反省を伝えるだけでは、配偶者が不安を感じることがあります。
「今後はどうするのか」まで、自分の言葉で説明できると話し合いが具体的になります。
例えば、
「怒ったときにその場で言い返すのではなく、一度離れてから話す」
「家事を頼まれてから動くのではなく、自分で担当を決めて続ける」
など、実際の生活に落とし込める内容にします。
一度の話し合いで夫婦関係を戻そうとしない

離婚を考えている人の気持ちは、数時間の話し合いだけで変わるとは限りません。
むしろ、その場で結論を求め続けると、話し合いそのものが苦痛になってしまいます。
「今日は話してくれてありがとう」
と終えることができれば、次に話す余地が残ります。
夫婦関係の修復では、一度の大きな会話より、その後も会話を続けられる状態を作れるかどうかが、その後の関係に影響します。
離婚回避できた夫婦に見られる変化

これまでのご相談では、離婚を回避できたご夫婦が最初から円満だったわけではありません。
むしろ、夫婦の会話がなくなっていたり、家庭内別居になっていたり、離婚届を用意されていたりするケースもありました。
その中で関係が変わったご夫婦には、「相手を変えようとすることをやめ、自分の接し方が変わった」という共通した経過があります。
相手の話を遮らなくなった

以前は、妻が不満を話すと夫がすぐに反論する。
夫が仕事の話をすると妻が責める。
このようなやり取りを繰り返していたご夫婦でも、どちらかが相手の話を最後まで聞くようになると、会話の雰囲気が変わることがあります。
相手の意見に賛成する必要はありません。
まず最後まで聞く。
それだけでも、これまでとは違う夫婦の会話になります。
日常生活の態度が変わった

「変わる」と約束するだけではなく、日常生活の中で変化が続いたご夫婦は、配偶者から見ても変化を確認しやすくなります。
例えば、帰宅後の態度、家事への関わり、子どもとの接し方、喧嘩になったときの言葉遣いなどです。
こうした変化は一日で信頼を取り戻すものではありません。
しかし、数週間、数か月と同じ姿勢が続くことで、配偶者が「以前とは違う」と感じることがあります。
相手の問題をすぐに指摘しなくなった

夫婦関係が悪化しているときは、「相手にも問題がある」と考えたくなります。
実際に、配偶者側にも改善すべき点があることはあります。
ただ、離婚回避を考えている段階で相手の問題を次々に指摘すると、「結局、自分を変えるつもりはない」と受け取られることがあります。
まず自分が変えられる部分に取り組む。
その変化が続いた後で、夫婦双方の問題を話し合う方が、会話が成立しやすいケースがあります。
すぐに結果を求めなくなった

「まだ好き?」
「離婚する気は変わった?」
「いつ戻ってくる?」
このような確認を毎日続けると、配偶者は返事を求められているように感じます。
関係を修復できたご夫婦の場合、相手の一日の態度だけで判断するのではなく、以前より会話が増えたか、喧嘩が減ったか、同じ空間にいる時間が苦痛ではなくなってきたかなど、長い期間で変化を見るようになっていました。
離婚回避は夫婦の状況によって方法が変わる

離婚を回避する方法を考えるとき、最も避けたいのは、どの夫婦にも同じ対応を当てはめることです。
同居中の夫婦と別居中の夫婦では、連絡の取り方一つをとっても違います。
浮気、DV、借金、親族問題、性格の不一致、長期間の家庭内別居など、離婚理由によっても対応は変わります。
同居中の場合

同居している場合は、毎日顔を合わせるからこそ、関係改善の機会があります。
一方で、夫婦喧嘩が続いている場合は、毎日の接触そのものが負担になっていることもあります。
この場合は、無理に夫婦関係を戻そうとするより、家庭内での言葉遣いや生活態度を変えることから始めた方が、相手の警戒が強まりにくいことがあります。
家庭内別居の場合

家庭内別居では、同じ家にいても夫婦としての会話がほとんどない状態になることがあります。
この場合、「同じ家にいるのだから話し合える」と考えてしまうと、相手に負担を与えることがあります。
食事、家事、子ども、生活時間など、まず日常生活の中で必要な会話ができる状態を保つことから考えます。
家庭内別居の原因によっては、距離を取ることが関係改善につながる場合もあります。
別居中の場合

別居中は、連絡の回数と内容が問題になりやすくなります。
「会いたい」
「帰ってきてほしい」
「話し合いたい」
という気持ちから連絡を増やしてしまう方もいます。
しかし、相手が別居によって精神的な距離を取りたいと考えている場合、頻繁な連絡は逆効果になることがあります。
別居の理由と現在の連絡状況を見たうえで、どの程度の連絡が適切なのかを考えます。
離婚調停中の場合

離婚調停が始まった場合、夫婦だけの話し合いとは違う対応が必要になります。
調停では感情だけでなく、子ども、生活費、財産、別居の経緯などについても話し合われます。
夫婦関係の修復を希望している場合でも、調停の場では法律上の問題を軽視できません。
夫婦関係を修復するための対応と、調停における主張や証拠の準備は分けて考える必要があります。
離婚回避を考えるときに知っておきたい法律の基本

離婚を切り出されると、「相手が離婚したいと言えば離婚になってしまうのではないか」と不安になる方もいらっしゃいます。
しかし、夫婦の一方が離婚を希望しただけで、すぐに婚姻関係が終了するわけではありません。
協議離婚では夫婦双方の合意が必要です。相手から離婚を求められていても、自分が離婚したくないのであれば、まず現在の状況を確認し、夫婦関係をどうしていくのかを考える時間があります。
一方で、別居や離婚調停、弁護士を介した話し合いなどに進んだ場合は、夫婦関係の問題だけでなく、法律上の対応も必要になります。
離婚したくない場合でも離婚の話し合いは避けられない
離婚を望んでいないからといって、離婚について何も話さずに済むとは限りません。
配偶者が離婚を考えるまでには、夫婦生活の中で不満や失望が積み重なっていることがあります。
そのため、法律上の権利を主張するだけでは、夫婦関係が改善するとは限りません。
離婚を避けたい場合は、
- 相手が離婚を考えるようになった理由を理解する
- 今後も話し合える関係を保つ
- 自分の言動を見直す
- 必要な場面では法律上の手続きについて確認する
というように、夫婦関係と法律上の問題を分けて考えることが大切です。
別居したからといって離婚が決まるわけではない

夫婦関係が悪化すると、別居を求められることがあります。
別居になると、「もう離婚を避けることはできない」と考えてしまう方もいます。
しかし、別居しただけで離婚が成立するわけではありません。
別居期間や別居に至った経緯などが、将来の離婚問題で考慮される場合はありますが、別居そのものによって自動的に婚姻関係が終了するわけではありません。
別居中に夫婦関係を見直し、再び話し合えるようになったケースもあります。
ただし、別居には生活費や子どものことなど、夫婦関係とは別に考えなければならない問題も生じます。
別居を求められた場合は、感情だけで判断せず、現在の生活状況や今後の話し合いについて確認しておくことが必要です。
離婚調停を申し立てられても、その時点で離婚にはならない

配偶者から「離婚調停を申し立てる」と言われると、裁判所から離婚を命じられるように感じる方もいます。
しかし、家庭裁判所の離婚調停は、調停委員を介して夫婦が話し合う手続きです。
調停を申し立てられた時点で離婚が成立するわけではありません。
離婚することに双方が合意すれば調停成立となりますが、離婚したくない側が同意しなければ、調停だけで離婚が成立するわけではありません。
ただし、調停が始まった場合は、夫婦だけで話し合っていた段階とは状況が変わります。
離婚を避けたい場合でも、調停で何を伝えるのか、今後どのように対応するのかを考えておく必要があります。
離婚調停についての具体的な対応は、[離婚したくない場合の奥の手]で詳しく解説しています。
離婚裁判では「離婚したい」という意思だけで決まるわけではない

夫婦の話し合いで離婚について合意できず、最終的に裁判へ進んだ場合には、裁判所が法律上の離婚原因をもとに判断します。
民法では、配偶者に不貞行為があった場合や、悪意の遺棄、一定期間の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合などが、裁判上の離婚原因として定められています。
そのため、「相手が離婚したいと言っている」という事実だけで、直ちに裁判上の離婚が認められるわけではありません。
ただし、夫婦関係が長期間にわたって悪化している場合などには、さまざまな事情を総合して判断されます。
ご自身のケースで離婚原因に該当する事情があるのか、裁判になった場合にどう判断される可能性があるのかについては、個別の事情を踏まえて確認する必要があります。
離婚回避では法律上の対応と夫婦関係を別に考える

離婚を避けたいと考えている場合、法律上の手続きだけに意識が向いてしまうことがあります。
しかし、離婚届への対応や調停への準備をしただけで、配偶者の気持ちが変わるわけではありません。
反対に、夫婦関係の修復だけを考えて、必要な手続きを後回しにすることも避けたいところです。
例えば、配偶者がすでに弁護士へ相談している、離婚調停を申し立てる準備をしている、離婚届の提出を急いでいるなど、離婚が具体的に進んでいる場合には、夫婦関係の改善と並行して法律上の対応を確認する必要があります。
離婚したくない場合に具体的にどのような対応を取るのかについては、現在の状況によって変わります。
[離婚したくない場合の奥の手]では、離婚届、別居、離婚協議、離婚調停など、離婚が具体的に進み始めた場合に確認しておきたい対応について詳しく解説しています。
法律上の不安がある場合は早めに専門家へ相談する

離婚問題では、夫婦関係の問題と法律上の問題が同時に進むことがあります。
特に、
- 離婚届への署名を求められている
- 別居を求められている
- 財産分与や親権について具体的な話が出ている
- 弁護士から通知が届いた
- 離婚調停の申立書が届いた
といった場合には、一般的な情報だけで判断せず、必要に応じて弁護士へ相談してください。
法律上の権利を確認することと、夫婦関係の修復を目指すことは両立できます。
離婚を避けたいからこそ、感情だけで判断せず、現在の状況に応じて必要な対応を選ぶことが大切です。
※本記事は離婚問題に関する一般的な法律情報を紹介するもので、個別の法律問題についての助言を行うものではありません。具体的な手続きや法的な判断については、弁護士などの専門家へご相談ください。

弁護士法人プラム綜合法律事務所・梅澤康二弁護士
離婚回避する方法【まとめ】

離婚を回避するために、夫婦全員に当てはまる一つの方法があるわけではありません。
離婚を考えるようになった理由、夫婦の現在の関係、同居・別居の状況、子どもの有無、浮気や借金などの問題、離婚調停の有無によって、対応は変わります。
ただ、実際のご相談を通じて見ると、関係が改善したご夫婦にはいくつかの共通した変化があります。
まず、配偶者を説得することだけに集中しなくなっています。
相手がなぜ離婚を考えるようになったのかを聞き、自分の言動について振り返り、これまでと同じ夫婦関係を続けないために生活や接し方を変えています。
そして、今日の反応だけを見て一喜一憂するのではなく、数週間、数か月という単位で夫婦の会話や態度の変化を見ています。
反対に、
- 長文LINEを何度も送る
- 毎日のように話し合いを求める
- 返事を急かす
- 親族や友人から説得してもらう
- 子どもを離婚回避の理由として繰り返す
- 「絶対に変わる」と約束だけを重ねる
といった行動は、配偶者の心理的な負担につながる場合があります。
離婚を切り出された直後は、「離婚を止めなければ」という気持ちで頭がいっぱいになります。
しかし、夫婦関係を修復するためには、離婚という結果だけを見るのではなく、そこに至るまでに夫婦の間で何が起きていたのかを知ることから始めた方が、その後の対応を選びやすくなります。
「離婚したくない」という自分の気持ちを伝えたうえで、配偶者が何を感じていたのかを聞く。
そして、これまでの夫婦関係の中で自分が変えられる部分について、言葉だけではなく日々の行動で示していく。
その積み重ねによって、再び夫婦で話せる状態に戻れるケースがあります。
離婚回避方法を解説【ケース別】

離婚問題は、現在の夫婦関係によって対応が大きく異なります。
「夫から離婚を切り出された場合」と「妻から離婚を切り出された場合」でも、これまでの夫婦関係や相手の心理によって取るべき対応は変わります。
また、家庭内別居、別居、離婚調停など、すでに夫婦の生活が分かれているケースでは、同居中とは異なる判断が求められます。
ご自身の状況に近いケースからご覧ください。
離婚回避の成功事例から分かること
「自分と同じような状況から夫婦関係を戻した人はいるのだろうか」と、成功事例を探す方は少なくありません。
これまでのご相談の中にも、夫から離婚を切り出された後に関係を改善されたご夫婦、家庭内別居から会話を取り戻されたご夫婦、別居後に再び同居へ戻られたご夫婦、離婚調停の前に夫婦関係を見直されたご夫婦など、さまざまなケースがあります。
成功事例の中に出てくる行動を、そのまま別のご夫婦に当てはめれば同じ結果になるわけではありません。
例えば、同じ「夫から離婚したいと言われた」というケースでも、夫がまだ妻との会話に応じている場合と、数年間にわたり家庭内別居が続いている場合では状況が違います。
成功事例は、「この方法を使えば離婚を回避できる」という答えとしてではなく、どのような経緯で夫婦関係が変化したのかを見るための参考としてご覧ください。

よくある質問

- 離婚回避できる可能性はどのような夫婦にありますか?
- 夫婦関係が悪化していても、すぐに離婚が成立するとは限りません。
例えば、配偶者が話し合いに応じている、離婚を考えるようになった理由を具体的に話している、家庭内別居でも必要な会話が残っている、子どものことについて協力できているなどの場合には、夫婦関係について話し合う余地が残っていることがあります。
一方で、長期間にわたって完全に会話がなく、離婚後の住居や仕事、財産などの準備が具体的に進んでいる場合には、夫婦関係を戻すまでに時間がかかることがあります。
可能性を一つの数字だけで判断するのではなく、現在の夫婦関係を見て判断することになります。
- 離婚したいと言われた直後は話し合った方がいいですか?
- 相手が話せる状態であれば、離婚を考えるようになった経緯を聞くことはできます。
ただし、離婚したくないという気持ちを何度も伝えたり、長時間説得したりする必要はありません。
まずは相手の話を最後まで聞き、自分が離婚を望んでいないことを一度伝えます。
そのうえで、その後も話し合える状態を残すことを考えた方が、夫婦関係を見直す機会につながりやすくなります。
- 別居になったら離婚回避は難しくなりますか?
- 別居したことだけで離婚が決まるわけではありません。
別居をきっかけに夫婦が落ち着いて話せるようになり、関係を見直すケースもあります。
一方で、別居中に頻繁な連絡や突然の訪問、長文LINEなどを繰り返すと、相手がさらに距離を取りたくなる場合があります。
別居の理由と現在の連絡状況を確認したうえで、どの程度の距離を保つのかを考えることになります。
- 離婚回避でやってはいけない行動はありますか?
- 代表的なのは、長文LINEの連投、電話の繰り返し、返事の催促、感情的な責め、親族を使った説得、子どもを通じた伝言などです。
これらは、自分の不安を少しでも軽くしたいという気持ちから始まることがあります。
しかし、相手からすると、「返事をしなければならない」「また説得される」と感じることがあります。
離婚回避では、自分が安心するための行動なのか、夫婦関係を改善するための行動なのかを区別して考えることが必要です。
- 離婚回避を相談するタイミングはいつがよいですか?
- 「離婚したい」と言われた直後だけが相談のタイミングではありません。
家庭内別居が続いている、別居を切り出された、離婚届を渡された、離婚調停を申し立てられた、弁護士から離婚を求める通知が届いたなど、状況が進んだ段階でも、その時点でできる対応を考えることはできます。
夫婦関係について一人で判断することが難しくなったときに、第三者へ状況を話してみることで、自分では見えていなかった問題に気付くこともあります。

臨床心理士・心理カウンセラー
高橋純代
金城大学大学院 人間科学研究科 心理学専攻 修了。
臨床心理士資格を有し、夫婦関係修復・離婚回避サポートを専門とする心理カウンセラーとして活動。
2003年より夫婦問題の相談に従事し、これまでに5,000件以上のカウンセリング実績を持つ。
離婚危機・別居・家庭内別居・不倫問題など、複雑な夫婦問題に関して心理学に基づいた実践的な改善アプローチを提供している。
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